『ブロークバック・マウンテン』
2010年9月5日 22:24|20 Comments|トレ・ビアンな映画&本
以前から気になっていて、先日グリ子さんとふたりで観ることができました。
ブロークバック・マウンテンで羊の番をする仕事をしたことで出会ったふたりのカウボーイ、イニスとジャック。
山を下りた後、それぞれに家庭を築いても失われることのなかった互いへの想いを、1960年代のアメリカを舞台に描いた作品。
見終わって、なんともやりきれない気持ちになりました。
物語の始まりは1963年。遠い昔のことのようでいて、このふたりを取り巻く状況は、現代でも根本的には変わっていないかもしれません。
こういう話がいくらでも現実にあるんじゃないか…そう思わせられるリアルさを所々に感じました。
異性と交際したり結婚したりしながら、結局家族も恋人も自分自身も大切にできていないのだと葛藤する彼らの人生と、彼らに翻弄される妻や女性たちの苦悩…。
子どもの頃のトラウマから同性愛にひどく悲観的なイニス。
自分に素直に生きようと満たされない気持ちを募らせるジャック。
淡々と静かに流れていく画面の中では20年もの時が過ぎていきます。
随分長い年月をかけて撮ったのかと思うほど、ふたりの老いていく様がよく表現されていました。
ブロークバック・マウンテンの思い出がふたりの中に懐かしく美しく輝くほどに、現実が悲しく映ります。
思いもよらなかった結末に、別の生き方もあったかもしれないとたとえ思ったとしても、過ぎ去った時間は取り戻せません。
ラストシーンの主人公のセリフがあまりにも切ないです。
でも迷い続けてきたイニスにとって、本当に大切なものが見えた瞬間だったのかもしれません。
ふたりの妻たちとのやりとりもそれぞれに印象的でした。
イニスの妻役の女優さん、どこかで見たと思ったら、『ウーマン・ラブ・ウーマン』の第2章に出ていた主人公。(こちらも見るべき!)
ジャックの妻役を演じたアン・ハサウェイは、実兄がゲイであることを公表し、同性愛者支援に積極的に取り組んでいるそう。
誰も傷つけることなく、自分の願うように生きていけたらいいのにとしみじみ思いました。
数年後にヒース・レジャーが亡くなったとは…
2010年9月5日 22:24|20 Comments|トレ・ビアンな映画&本
Comments
20 Responses to “『ブロークバック・マウンテン』”
コメントはお気軽にどうぞ〜(承認制です)
9月 5th, 2010 @ 10:37 PM
初めてコメントさせて頂きます。
本当に、最後の言葉で泣かされた映画です。
時代背景もあるかもしれませんが、ジャックが亡くなった原因がゲイバッシングではないか??
と思うような描写が、なお辛いと言うか切ないと言うか・・・。
何年か前に観た映画ですが今も強く印象に残っています。
9月 5th, 2010 @ 10:38 PM
ブロークバック・マウンテン私も見たことがあります。
初めて見たのが高校生の時だったので、とても印象強かった思い出があります。
美しい山々の映像と願うようにいかない現実にリアルに胸が痛くなりました。
二十歳をこえた今、もう一度見てみようと思います^^
9月 5th, 2010 @ 10:54 PM
ミシェルさん、こんばんは。
『ブロークバック・マウンテン』、2年くらい前に観たのでうろ覚えな部分も多いですが、
両想いのはずなのに孤独な人たち、という印象を持ったことだけは覚えています。
人にはよく勧めていますが、
淋しい気持ちになるので自分ではもう観ないかもしれないです・・・勝手ですね(^ ^;)
9月 5th, 2010 @ 11:11 PM
誰も傷つけることなく、自分の願うように生きていけたらいいのにとしみじみ思いました。
私もそう思います。
でも最近は傷ついて、傷つけあって
お互いの存在を確認したり、成長するのかなとも思うようになってきました。
むやみやたらに傷つけるのは違うけど。。。
この映画みたことないので今度見てみたいです(´∀`)なんだか色々考えてしまいそうだけど。。。
9月 5th, 2010 @ 11:58 PM
これを見たときは正直、ビミョーって思いました。なんかゲイセックス馬鹿にしてないか? っていう表現だったので(まぁ、リアルに描いても仕方ないんですけどね)。落ち着いて見ると、神国アメリカの国民が持ってる(感じる?)ゲイに対する差別とか偏見とか、そのしがらみから逃れらない自身の苦悩がよく描かれていていい映画だと思いました。ちゅーか、ゲイシネマって悲恋物が多いような気が・・・ですので、個人的に好きな作品はプリシラです。
9月 6th, 2010 @ 12:04 AM
この作品は、以前私も観ました。
男性同士のラブシーンって、激しい…( ̄□ ̄;)
っていう感想って、、、ダメでしょうか?
9月 6th, 2010 @ 2:25 AM
この映画はとても印象的でした。
最後にイニスがクローゼットに写真とシャツをしまいこむシーンはどこか示唆的で考えさせられました。でも、イニスがクローゼットのゲイであり続けたという暗喩以上に、ジャックへの愛とともに生きるというイニスの覚悟が現れていて感動させられました。
ハリウッドにおいて、人種的マイノリティのアン・リーが、性的マイノリティの作品を撮ったのだというのもすごく興味深いですよね。
9月 6th, 2010 @ 3:51 AM
自分も見ましたが、ホンマ悲しい話ですよね、、。
人間って、悲しい生き物ですね、、。
9月 6th, 2010 @ 1:26 PM
『ブロークバック・マウンテン』とハル・ベリー主演の『チョコレート』ですね…
ただ『チョコレート』のほうは、あまり出番がなかったけど、それでも印象的でした。
私、彼のファンで、この人が亡くなった時、
「まだ若いのに、なんで早く亡くならなければならないのだろう」
と思いました。
役者としてこれからなのに、非常に残念でなりません。
今ここで、ヒース・レジャーのご冥福をお祈りいたします。
9月 6th, 2010 @ 9:50 PM
>kinako-mutterさん
原作には映画では描かれなかったことも書かれているらしいです。その内容を知ってなるほど…とつながる点もあるものの、さらにショック。でもまた見たい映画です、そのうちに。
9月 6th, 2010 @ 9:52 PM
>透夏さん
しばらくたってから見るとまた印象が違うこともありますもんね。
私はタイトルだけは以前から知っていたのだけど、早く見ればよかったなあと思いました。
9月 6th, 2010 @ 9:56 PM
>のちぇさん
たしかにひきずるというか…思い出すと悲しくなるお話ですよね。でも私は原作も読んでみたいかも。
9月 6th, 2010 @ 9:58 PM
>ゆうまさん
傷つけ合うことでお互いの存在を確認したり、成長する…そうかもしれないですね。でもやっぱりつらいなぁ。
ぜひ機会があったらご覧になってみてください。
9月 6th, 2010 @ 10:00 PM
>LETZTEROSEさん
そうなんですね~。ゲイ男性はどういう感想を持つんだろうか…と思いました。ラブシーンのリアリティが気になっちゃうのは、ビアン映画を観る時の私たちも同じかも(^-^;
9月 6th, 2010 @ 10:02 PM
>coca–colaさん
たしかに激しいと言うか…ぶつかり合いのようでしたねぇ。
9月 6th, 2010 @ 10:06 PM
>匿・芽衣子さん
仰るとおり、示唆的なシーンがありましたね。ああいう表現は文章より映像がいいなと思います。
ハリウッド映画って感じの派手さはないけれど、いい映画ですよね。
9月 6th, 2010 @ 10:11 PM
>JOEさん
そうですね。人間の弱さや愚かさが感じられますよね。
でもイニスの娘がいい子に育ったのがうれしかったな~。
9月 6th, 2010 @ 10:13 PM
>みっちさん
ああ!『チョコレート』に出ていたとは知りませんでした。
渋みがあって、歳とともに素敵な俳優さんになったのでしょうにね。
9月 7th, 2010 @ 12:02 PM
ランキング2位のジェイです!
アテシもこの映画みたわ!
でもアテシは男同士で結婚できてよかったわ。
グリ子さんと、ミシェルちゃんも結婚できるように法律が変わればいいのにね!
日本は全然そういうの対応してないのよ!
アテシブログ始める前から読者なの。
ビアンってどんな恋愛してるのかな?ってすごく興味あって、ずっとビアンの友達ほしかったから、一度したんだけど、一度みてからハマってます!
お互い更新がんばろうね!
9月 7th, 2010 @ 7:27 PM
>同性愛で国際結婚してる「JAY」さん
国際結婚されてるのですね~。カナダはいいなぁ。
私もゲイの友達は少なくて、こういう映画とか見ると、男性はまた女性と違った困難もあるのかなとか、でも共通する部分もいっぱいあるな…とか色々思ったりします。