家族へのカムアウト
2011年10月7日 0:03|17 Comments|家族とふたりの事件簿
先日実家で私が席を外している間に、母がグリ子さんに聞いたんだそうです。
「ミシェルはいまだに男性に興味を持てないほど痛手を負ったままなのかしら」と。
グリ子さんは、母が私をものすごく心配して気遣っている様子を見て、いたたまれない気持ちになったそうです。それを聞いて、私も心苦しく思いました。
私には彼女がいるのに、彼女は私を大事に思ってくれているのに、そして母も私を思ってくれているのに…。
黙っていることがいいことなのか、時々わからなくなります。
でも私の家族とグリ子さんの今あるとても良い関係は、いっそこのままのほうが…と思う時もあります。
グリ子さんが、私との暮らしを継続したい、自分の人生を歩みたいとお母さんに手紙を送った春… その後は波乱の連続でした。(手紙の話はこちら)
「あんな手紙書くんじゃなかった」「もう自分の人生なんてどうでもいい」とまで言った彼女…。
私はもう終わりかもしれないと思いました。
人と深く向き合うことは、自分自身とも向き合うことなのだとつくづく思います。誰かと出会ったがために、自分がこれまで目を背けてきた問題とも対峙せざるを得なくなることがある。
グリ子さんは私と出会うまで考えたこともなかったと言っていました。
向き合わなければならない問題は自分にとってとても苦しいものであることがほとんどだから、その苦しさゆえ、互いの想いが見えなくなったり、逃れたくなったりすることもある…だから、私たちは試されている、と思いました。
グリ子さんとお母さんの関係について、私が「彼女は辛い時に知り合って私を支えてくれた人だから力になりたい」と伝えた時、母は「彼女は信頼できる人だし、自分にとっても娘のような身内のような人」だと言ってくれました。
この時、私たちがどんな状況にあるのか本当のことは言えませんでしたが、その言葉はとてもうれしかったです。
ふたりの引越の時にも父と一緒に手伝いに来てくれました。
結局、カムアウトはしないと言っていたグリ子さんのほうが、私より先にお母さんにカムアウトをしました。決して良いタイミングではなかったけれど、打ち明けるよりほかにもう方法がなかったのです。
お母さんのことを相談していた弟さんにも私とパートナーとして暮らすつもりだと話したそうですが、どう受け止められたかはわかりません。
グリ子さんは時々実家に帰っているけれど、家族はもうそのことには何も触れないそうです。
彼女がふたりの部屋に戻ってくる、そのことだけを結果として受け止めるしかないのかもしれません。私との暮らしが彼女に良い影響をもたらしている、彼女を通してそんなふうに感じてもらえるようにすることしか、今の私にできることはなさそうです。
カムアウトって大抵は家族や恋人やいろんな人を想ったり悩んだりの通過点だと思うのですが、そこからが本当の始まりという気がします。
本当の自分になって、深まる絆もあれば、脆く崩れるものも…。
私の家族の場合はまだわからないけれど、話せるだけの信頼という土台はできつつある…と思うものの、まだ何も始まっていないとも思えるのです。
2011年10月7日 0:03|17 Comments|家族とふたりの事件簿
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Comments
17 Responses to “家族へのカムアウト”
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10月 7th, 2011 @ 12:29 AM
お二人の話を聞いていて自分の事と重なり色々思い出しました。
私の母と私とグリ子さんの母娘関係がとても似ているからです。
私も地元ではよく知られている家に育ちました。
コメントなので簡単に書きますがカムアウトはそれはもう波乱の日々でした。
でも私も彼女と生きていく道を選び初めて母の意見と真っ向から立ち向かった気がします。
向き合うのが大切な人と思えばこそそれは重たく簡単にはすませられない、そして家のこれからの事を考えると難しいものだと思います。
今ではグリ子さんと同じくその話題には触れてきませんが2年経った今は私とは普通に話すようになりました
兄たちとは疎遠になりましたが^^;
でも今は穏やかな日々でとても幸せです
波乱の日々で心身ともに疲れていたあの2年前では考えられないような平和な毎日を送っています
やはり向かい合ってよかったのだと思っています
10月 7th, 2011 @ 2:20 AM
お久しぶりです。
読んでいて涙が止まらなくなってしまいました。
状況は違いますが私も母親とうまくいっていなく、、、
ちょうどどん底の時にこちらに来ました。
泣けてちょっとすっきりしました。
お礼を言うのは変なのかもしれませんが、、、、
ありがとうございます。
私は長年溜めていた母への不信や苛立ちを
あるきっかけで抑えられなくなり、言うつもりはほんとにずっとなかったのですが
どうしても自分の中で折り合いがつかず、ぶちまけました。
言って、母は謝ってくれました。
そして今は表面上はなんとなく普通にそこそこ・・・・な感じです。
でも自分はどうしても心の底から母を信じることはできず
これから先、もしかしたらずっとそれは変わらないのかもしれないと思うとちょっとぞっとします。
母親なのに 実の親なのに
信じたいとは思っているのにどうしてもできないんです。
私は今こうゆう話を言える人はいないので
ミシェルさん、グリ子さんをうらやましくも思います。
もうちょっと時間が経てば信頼できる人ができたり、
母との関係もよくなったりするのかな・・・
少し希望を持ちつつ、過ごしたいと思います。
と、何かHAPPYなことを探さないと!
私は悩みとか深く考えすぎてしまうくせもあるので、他で紛らわさないといっぱいいっぱいになってしまうんですよね…
お二人もHAPPYなこともしてくださいね☆
後ご飯もしっかり食べてくださいね。(そんな必要はなさそうですよね笑 いっつもおいそう^∇^)
つい最近、姫野友美さんという方の本を読んで、やっぱり食事って
大切だ!と再確認したんですよね。
好き嫌いが多いのでがんばらなきゃ・・・・まず私はそこからかも。
野菜嫌い。。。。。泣
長々失礼しました。
10月 7th, 2011 @ 7:43 AM
カムアウト。本当にそれぞれだと思います。
私も今でこそ自分を隠さずいられるようになりましたが、
一番最初に共通の友人に自分の口からカムアウトした時は
重く苦しい初めてのカムでした。
それから2年、3年近くかな、それだけの月日が流れて
今ようやく本当の自分で生きられるようになって幸せ、と
心から思えるようになりました。
話した相手にもある程度の時間が必要なんだろうし。
お二人が今も一緒にいられることが何より、大変うれしく思います。応援しています
10月 7th, 2011 @ 7:56 AM
初めまして、えりんぎと申します。
こちらのブログはずっと読んでいたのですが、今回の記事で胸にこみ上げるものがあったのでコメントさせていただきました。
「人と深く向き合うことは、自分自身とも向き合うこと」…まさしくその通りだと思います。
私事ですが、私は母から今までずっと逃げてきました。
この間初めて本音で話をすることができました。
そうすることで自分自信を振り返ることができました。
…その後きまずくなりつつも(笑)お互い本当に人として付き合えた気がします。
私もビアンなのですがカムアウトは信頼できる人のみにしています。
両親には今は怖くて話ができません…ですが時期を待って話すということも、また試練なのかもしれない、と私は思っています。
ミシェルさんも今は本当に苦しんでいるのだと思います。
グリ子さんの苦しむ姿を見ていたり
ミシェルさんのご両親の心配なさる姿を見ていたり
それでもカミングアウトすることが難しかったり…
私から一つだけ…ミシェルさんとグリ子さんが幸せになれること、心からお祈りしています。
初めてのコメントで偉そうにすみません;
それでは。
10月 7th, 2011 @ 8:48 AM
はじめて書いています。携帯からでも大丈夫でしょうか? まずは遅れるかのテストをさせて頂きました。送れましたら改めて書き込みさせて頂きます。よろしくお願いします
10月 7th, 2011 @ 12:00 PM
改めて、はじめまして。
なおみと申します。
ずっと閲覧させて頂いていました。
何度も何度もお話がしたいと思っていたのですが
携帯からでしたので、
できないのだろうな…と。
ミシェルさんグリ子さんを、お二人をいつもとても羨ましく、尊く、微笑ましく、拝見させて頂いてました。
私も年の差があるカップルの上の方をです
私がグリ子さんと同世代、彼女がミシェルさんと同じ位です
先日、私の方に、彼女を両親・妹と対面できる出来事が突発的にありました。
カミングアウトではありませんが、
「私の最も信頼できる、大切な人」だと伝えました。
「同性を好きです」とはまだ言えませんが、自分にとって、一生大切な人だと知ってもらうことは、カミングアウトに近いものではないかなと、私は考えています。
どうしても「同性愛」というと、家族は受け入れ辛く、ショックを受けたり、拒否してしまったりするでしょう。
でも、私には大切な人がいる、独りではないということは、家族には知っていてほしい。
お互いの家族をパートナーと同じように想い、愛すように努め、行動するのは、理想ですがなかなか難しい。
でもその姿勢はとても大切で素敵だと私は思います。
初めてなのに長々とごめんなさい
読んで頂きありがとうございました。
追伸:
私達の住んでる街へミシェルさん方が旅行に来られたとゆう過去のブログを読んだとき、きゃーっとなりました
雨で残念でしたね…。
10月 7th, 2011 @ 3:54 PM
初めてコメントさせて頂く、あいと申します。
お二人の人柄、関係、美味しそうでオシャレなお食事写真
ミシェルさんのイラスト、文章全てが好きで以前よりこっそり通わせて頂いておりました!
カミングアウト…。
私事なのですが、読んで頂きこんな体験談もあるんだと
少しでもどんな形ででもお二人の役に立つ事ができたら…と思い
書き込みをさせていただく事に致しました。
私は母親にのみカミングアウトしたことがあります。
同性愛を取り扱っているテレビの話題などでも理解的な意見で
もしかしたら案外受け入れてくれるんじゃないかという
甘い考えがありましたし、親子関係も良好だったので
母にのみ、カミングアウトしました。
母の反応は無言ののち「聞かなかった事にする」と一言。
私は泣き、母は台所へ立ち、その後は数日ギクシャクしましたが
今の関係はすっかり元通りです。
テレビなどで流れても同性愛についての話題には
触れることはなくなりましたが、反対される事もありませんでした。
きっと、認めることも応援も出来ないけれど、親子関係を今までどおりに
してくれることが、私の母の精一杯の”受け入れ”だったのだと思います。
人それぞれだとは思うのですが、やはり親というものは
子供の幸せを願っていると思いますので、お二人が近くに居る事で
今までで一番幸せで安定している状態だと親に感じてもらえたら
許す、認めるは難しいにしても、いつかお二人の関係を
受け入れてくれる日が来るのだと思います。
希望的観測で物を言ってしまい申し訳ありません…ですが
心からそうなるよう、そんな日が来るよう願っております。
長くなって申し訳ありません!
今が一番お二人にとって大変な時期になるのかも知れませんが
どうか乗り切って、これからも末永く幸せな同棲生活を送ってください。
応援しております!!^^失礼致しました。
10月 8th, 2011 @ 9:00 AM
本当に考えさせられました・・・
ミシェルさんが書かれていましたが、「試されている」「避けてきたことと向き合う」ことは、本当につらいことと思います。
でも、お二人ならきっと乗り越えられると信じてます。
ご家族へのカムアウト、軽々しいことは言えないですが・・・必ず”ジャスト”な時が来るのでは・・・
お二人の幸せを心から願いつつ、応援してます。
10月 9th, 2011 @ 10:18 PM
はじめまして。
以前からこっそりと通わせていただいておりました。
たおるけっとと申します。21歳の若造です。
私もついさっき、
「私はハハと、本当に向かい合うことが出来るのだろうか・・・」
とお風呂でもんもんと考えていたところでした。
お二人の状況とは少し違うのですが、
私も実際自分に大切な人が出来た時、
何かしらの関門を越えなければならないと思っています。
実際今は残念ながらそう呼べる人はいませんし、
想像でしかないのですが・・・。
私もその時、相手(ハハ)のことも自分のことも受け入れて理解することが出来ればいいなと、
深く感じました。
ミシェルさん、グリコさんの幸運を、心から祈っています。
これからも記事、楽しみにしております。
長文失礼しました。
たおるけっと
10月 22nd, 2011 @ 2:59 PM
>シオンさん
きっと大変だったのでしょうね。言葉で綴られている以上に。
その時は苦しいけれど、振り返って良かったと思える方向へ進めたらいいなと思います。
最終的には自分で正解を見つけるしかないのでしょうね。
10月 22nd, 2011 @ 3:03 PM
>maliyさん
親を信じきれないと言うか、反応が怖いと言うか、そういう気持ちわかる気がします。
本当の信頼関係を築くのって親子であっても(親子だから?)なかなか難しいものですね。
私も最近、姫野友美さんの本を読んでいたので偶然でびっくり。栄養は身体のためにも心のためにも大切なんですね。
10月 22nd, 2011 @ 3:09 PM
>KURIKOさん
いつもありがとうございます。
おふたりの今を見ていると、本当に羨ましい。親御さんともそれぞれ良い関係を築きつつあるみたいで。
でもそこに至るまではやっぱりいろんな葛藤や勇気があったのだろうと思います。本当に人それぞれ、いろんなものを抱えて生きているものですね。
私もいつか自分のことを話してそこからいろんなことを広めて行けたら良いなあと思います。
10月 22nd, 2011 @ 3:13 PM
>えりんぎさん
初コメントありがとうございます。
自分自身のことであっても、自分と向き合うことって実は一番難しいことかもしれませんね。
人と自分は合わせ鏡のようだとか言いますが、ちゃんと見ようと思えば自分から逃れることはできないものですね。
私もまだ試練がいっぱいなのかもしれないけど、幸せを追い求めて行きたいです。
10月 22nd, 2011 @ 3:17 PM
>なおみさん
携帯からでも大丈夫ですよ。コメント承認制だしわかりづらくてごめんなさい。
歳の差カップルって同年代同士とはまた違う問題もあるのかもしれませんね。
親の世代も違うし。世代だけの問題ではないのだろうけど、自分にまだ降り掛かっていないいろんなものを目の当たりにしたような気がしました。
雨の日に旅行に行ったと言えばあそこかしら…。太陽の光を浴びにまた行きたいです。
10月 22nd, 2011 @ 3:40 PM
>あいさん
認めることも応援も出来ないけれど、親子関係を今までどおりにしてくれることが、母の精一杯の”受け入れ”…
グリ子さんの家族のことを思い浮かべると、そうかもしれないなあ、せめてそうだったらいいな、と思いました。
自分の家族にも甘い期待などしないほうが良い、と思ったりもするんですが、家族なだけに揺れる気持ちがあります。
だけど、自分で選べる人生ってあたりまえのようでいて感謝すべきことなのだとつくづく思いますね。
10月 22nd, 2011 @ 3:45 PM
>じょんさん
今私の家族と彼女がとても良い関係にあることは本当に恵まれていて、壊したくないけれど、きっといつか「その時」が来るのかも。
でもそれはきっとどんな形であれ前に進むことなんだと思います。私も彼女もまだ悩みはつきませんが、ふたりの関係は次のステップに上がったような気がしました。
10月 22nd, 2011 @ 3:56 PM
>たおるけっとさん
はじめまして。
親と向き合うってよくよく考えたら、今は恋人ほど何でも自分のことを見せているわけじゃないし、カムアウト以前に、腹を割って話すことってなかなかないような気もしますね。
自分も親のこと何でも知っているわけじゃないし。私も自分だったらどう話すんだろう…改まって直接?手紙?などと時々想像しますよ。